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【交番勤務編⑥】交番時代に命の危険を感じた現場エピソード3選(元警察官の実話)

交番勤務

ぺにょの交番時代に体験した、身の危険を感じた現場エピソードを3つ紹介します。

どれもこれも一歩間違えば、今この世にいなかったかもしれないお話です。

それではどうぞ。

①ポン中(覚醒剤中毒者)に対する職質現場

一つ目は、見出しのとおり覚醒剤使用者に対する職務質問時のことです。

当時、ぺにょは指導部長とともにミニパトで夜間の警らに出ていました。

すると、山へと続く道路脇に1台の軽自動車が止まっている様子を認めました。

その車はヘッドライトが点灯状態であり、路肩に寄せて止めているというよりは、車道にかなりはみ出して斜め向きに停まっているような状態でした。

ハザードもついていなくて、運転席には20から30代の男が1人で乗車している様子。

付近は、10分ほど走らなければ市街地へ戻れないような田舎道であり、ただでさえそのような場所に駐車している状況が不審であったにもかかわらず、いわゆるシャブ停めと呼ばれる車体が斜めに向いた状態で駐車していたのです。

その様子を見たぺにょと部長は、男がシャブでもやっているのではないかと思い、早速その男に対して職質を始めることとしました。

ぺにょが運転席ドアに近づくと、運転席に乗っていた男もこちらに気づいたのか、自ら運転席のドアを開け車を降りました。

そのため、ぺにょが男に対して、ここで何をしていたのかを聞いたところ、男は『星を見ていただけだ』などと答えましたが、明らかに目の焦点が合っていない様子であり、着ている服も夏だと言うのに長袖のTシャツで、終始落ち着きのない様子でした。

男の様子を見て、ぺにょと部長は男から聞き出した氏名や生年月日から犯罪経歴を照会したところ、男が過去に覚せい剤使用の犯罪経歴を何件も有する男であることがわかりました。

男の様子や過去の経歴から、今現在も覚醒剤を使用している可能性が極めて高いと判断し、刑事当直に応援を要請して、到着までの間、男の使用車両に対する車内検索を行うこととしました。

しかし、ここで問題が生じます。

車内を見せて欲しいと男に申し向けたところ、男が急に『また俺を捕まえる気か』などと言って態度を急変させたのです。

その発言内容からも、男は暗に自身が何らかの犯罪行為を犯していることをほのめかしていたため、ぺにょは男が逃げないようにしっかりと男の様子を監視していました。

しかし、当時はまだ経験も浅い巡査。

部長が刑事当直に電話連絡をしてくれている間、ぺにょなりに男の様子を見ていたつもりでしたが、一瞬油断した隙に男が車両に乗り込んでしまい、すぐにでも発進してしまいそうな状況に陥ってしまいました。

そして、男は車のアクセルを踏み、無理やり車を発進させました。

その時ぺにょは、自分でまいた種だし何とか失敗を取り戻そうと思い、男が発進させた車の運転席窓にしがみついてしまったのです。

猛速でその場を立ち去ろうとしていた車にしがみついたわけですから、ぺにょは車に引きずられる形となってしまいました。

当然いつまでもしがみついていられる訳もなく、カーブで思いっきりぶっ飛ばされてしまいました。

飛んだ先は草地ではありましたが、結構な勢いでぶつかったため、ぺにょはしばらくまともに息ができないほど全身を打ち付けました。

結果として、部分的な軽度打撲程度ですみましたが、対向車が来ていたり、コンクリートなどにぶつかっていたら…頭からぶつかっていたら…。

今思うと、本当に無茶をしたなーと思います。

結局、そのポン中は逃げた先で事故を起こし、案の定尿検査で陽性、逮捕されました。

その後、ぺにょは刑事になってからも嫌というほど薬物中毒者と闘う羽目になるんですけど、ポン中って本当なりふり構わず逃げるんですよ!

このときが初めての取扱いだったこともあって、文字通り痛い目をみてしまいました。

ちなみに、無茶して軽い怪我をしたにもかかわらず、上司たちからは危ないことをするなと怒られ、刑事からは任意性が云々かんぬんとつめられ、散々な目に遭いましたよ、ちくしょう。

②刃物所持のもめごと現場

あるとき、無線で『家族間のもめごと、なお対象者は刃物所持の模様』なーんて指令が入りました。

当時はまだ元気いっぱいだったぺにょは、『よくわからんけど、銃刀法違反で逮捕しよう』などと新米巡査丸出しの気持ちでした。

そして、部長とともに緊急走行で対象者のお宅に向かいました。

家に着くと、家族たちが玄関の外に避難している状況でした。

聞くと、ニートの息子に働けと説教したところ、いきなり包丁を持ち出して暴れ出したとのこと。

息子は今も自室内に立てこもっていたため、ぺにょは深いことを考えずにその息子の部屋に向かいました。

今では考えられませんが、このときぺにょは相手が刃物を持っているという状況の重大さを全く理解しておらず、耐刃手袋や盾、刺股などの装備もなしに息子の部屋に突入しました。

声をかけてから部屋に入ると、室内には刃渡り30センチくらいあんるじゃね?ってくらい立派な出刃包丁を手にもった男が。

なんでこんなことしてるの?と聞くと、案の定『ムカついたから』と答える男。

淡々と話に応じるような様子だったこともあり、ぺにょはとりあえず刃物を取り上げようと近づいたところ、急に男が立ち上がり、発狂し始めました。

遅れて部屋に入ってきた部長曰く、どうも相手はメンタル系の持病があるらしく、その日も調子が悪い日なんだとか。

どうしたもんかと考えていたところ、男が『もう死んでやる!』などと言って、自分で腕を切りつけ始めました。

これはまずいと思い、すぐに男を制圧しに飛びかかったのですが、まぁ力が強いこと。

部長や応援できた人も一緒に男の制圧を手伝ってくれたのですが、それでも刃物を取り上げるには至りません。

そうこうしているうちに、男を押さえつけていた人の一人が力を緩めてしまったのか、男が包丁を持った手を振り回し始めました。

すると、

カチン、カチン

って音がするんですよ。

何かなと思ってみてみると、男がぺにょの腹に包丁を突き刺そうとしてるんです。

めちゃくちゃ冷や汗が出ましたね。

耐刃防護衣を着てなければ、お腹に立派な包丁を突き刺されてたわけですから。

その後、無事に刃物を取り上げ、男は精神錯乱ということで強制保護しました。

この取り扱いを通じて、ぺにょは刃物を持った対象者がいかに危険であるかを認識しましたね。

肝冷えっ冷え。

③熊(クマ)との遭遇

ええ、あの熊です。

ぺにょが当時働いていた警察署は、管内に山があるところでした。

ある日、山菜とりに出かけた人がいなくなってしまったとの通報があり、署員らで山に入って捜索をすることに。

ぺにょも捜索隊の一人として山に入ることになったのですが、このときは自然の恐ろしさを何も理解していませんでした。

ちょっと話がそれますが、警察官って案外装備がショボいんです。

このとき、山に入るというのに、持ち物は各々が持参した水分と警笛、さらに警丈と呼ばれる木の棒一つ。

なんでやねん!って感じですよ。

動物出たらどうするんだと。

そして、ぺにょの不満は嫌な形で的中しました。

二次災害を防ぐため、はじめはなるべく集団で行動していたのですが、たまたま道が分岐するところにさしかかり、ぺにょはほかの捜索隊の人と二人で別ルートへ。

獣道とはいえ、完全なヤブではなかったため、いざとなれば道を辿れば戻れるからという理由だったと思います。

そして、その道を進んでしばらくすると、ふと木の上に黒っぽい野生動物がいることに気がつきました。

そう、熊です。

その熊はまだ小熊で、ぺにょたちをみるなり、何かキューキューと鳴き声を出し始めました。

まだ小熊だったこともあり、ちょっと可愛らしいと思ってしまったのも束の間で、すぐに顔が青ざめる事態に。

木の下にいるんですよ、立派な親熊が。

めちゃくちゃデカいんですよ、熊って。

もう、蛇に睨まれたカエルのごとく、ビビって身動きが取れなくなりましたね。

でもなんとか逃げなければいけなかったので、熊に背を向けないように後ろ足で少しずつ距離をとりました。

熊さんは、ずっとこちらを見てきます。

それでもなんとか、敵意がないよ、近寄らないよってな感じで、ジリジリと離れていったわけです。

そして、大体100メートル近く距離をとったころでしょうか。

こちらから熊の姿が見えなくなりました。

そこで、二人で一気に走って逃げました。

もう死ぬ気で走りましたよ。

でも、少し傾斜を登ったあたりでまた熊たちがいたところが見えたのですが、最悪な光景が目に入りました。

熊さんたちが、こっちの方についてきてるんですよ。

小熊も木を降りて、ちょこちょこ歩いてました。

もうね、何で追っかけてくんのよと。

こっちは死ぬ気で逃げまくってるのに、まるでおもちゃを取りに行く子供のような感じで、のっそのっそと近づいてくるんです。

そして、少しずつ距離が近づいてきたとき、ぺにょたちはワラにもすがる思いで、持ってた警笛を吹きまくりました。

別の方へ検索に行った班に知らせるのと、熊を少しでもビビらせたかったのです。

すると、それが功を奏したのか、明らかに熊さんが警戒して挙動が鈍くなったのです。

しかも、別の班の人も声が聞こえる距離にいることがわかったので、とにかく急いで合流し、山を降りました。

その後は、一度戻ってから猟友会の人に同行を依頼して、再出発することになりました。

そして、行方不明者については、沢に滑落して亡くなっている状態で発見されました。

ご遺族は、遺体を家族のもとに返してくれただけでもありがたいと言ってくれましたが、もしかすると、亡くなられた方も熊に追われて逃げた結果、滑落してしまったのしれません。

それにしても、ショボい装備の中でも役に立ったのがまさかの警笛とは。

以上、熊に関する体験談でした。

④実はまだまだある?

交番時代のエピソードはこのくらいですかねぇ。

でも実は、他にも数えきれないくらいの非日常エピソードがありますし、刑事になってからはさらにエグい経験ばかりでしたので、これから別記事などでご紹介できればと思います。

それでは。

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