交番勤務といえば「落とし物対応」や「道案内」のイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、日常のトラブルから犯罪まで、幅広い案件に対応しています。
ここでは、元警察官として特によく取り扱った事案を8つ厳選して紹介します。
① 交通事故
もっとも多い通報。
特に「物件事故(怪我のない車両事故)」が大半で、衝突や単独事故が多いです。
一方で「人身事故」や「当て逃げ」「ひき逃げ」になると処理は複雑になり、交通課も臨場して詳細な実況見分が行われます。
冬場は事故が多発して警察官が現場に追いつかないこともありました。
② 駐車違反・迷惑駐車
通報件数は交通事故に次ぐ多さ。
違反に該当すれば「駐車標章」を貼って違反車両として処理します。
違反でなくても交通障害を伴う場合は、マイクで呼びかけて移動を促すことも。
③ 騒音苦情
生活トラブルの典型例。
音楽や生活音の苦情もあれば、中には「幻聴」による通報もありました。
事実の有無をしっかり確認した上で、対象者に注意や説明を行っていました。
④ 危険運転の取締要請
「あおり運転」や「危険な車両」の通報。
通報時にはすでに移動していることが多く、対象車両を発見できないケースも少なくありません。
ただし、常習者や悪質な行為が特定できれば事件化されることもあります。
⑤ 泥酔者対応
酔っぱらいは交番の“おなじみ客”。
自力で帰れる人はそのまま帰宅させますが、寝込んで動けない人や暴れる人は「保護」して警察署で監視を行います。
間違った対応をすると暴行事件やタクシー無賃乗車につながるため、慎重に対応していました。
⑥ 万引き
もっとも多い窃盗事犯です。
こればかりは一向に減ることがなく、毎年発生し続けている状況です。
よくあるのが、私服警備員や店舗関係者が犯行を現認して犯人を確保し、警察に通報するケースです。
この場合、被害店舗に赴いて店舗関係者や目撃者、犯人に対して事情聴取を行い、事実関係を特定して必要があれば逮捕することもあります。
逮捕の基準等については、また別の記事で紹介しようと思うので割愛しますが、簡単に言えば何度もやっている人間や、手口が非常に悪質な者については積極的に逮捕していました。
被害だけが発覚した場合も、防犯カメラ映像や実況見分を通じて捜査します。
正直、元刑事の目線から言えば万引きで捕まるのは泥棒としてセンスがない。ほとんどがカメラで記録されているため、捕まる可能性は非常に高いのです。
⑦ もめごと
交通ルール、飲酒、生活マナーなど理由はさまざま。
対応が遅れると暴行や傷害に発展するため、早期臨場・複数臨場が鉄則でした。
特に家族間・交際者間・近隣住民間のトラブルは長期化しやすいため、根本解決を目指して時間をかけて対応することも多かったです。
⑧ 暴行・傷害事件
飲酒絡みが圧倒的に多い案件。
現場では応じない「輩」も多く、その場で逮捕することがしばしば。
翌日シラフになって取調べをすると、9割は後悔して反省していました。
また家族や交際者間での暴行も多く、最悪の場合は殺人事件に発展することもあります。
そのため、被害者を避難させる「分離措置」を必ず実施していました。
まとめ
交番勤務は、道案内や落とし物対応だけでなく、日常に潜む大小のトラブルに幅広く対応する最前線です。
今回紹介した8つの事案はほんの一部。
実際にはもっと多彩な案件があり、常に緊張感と判断力が求められる仕事でした。